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 水琴窟とは、庭の手水鉢(チョウズバチ)や蹲踞(つくばい)などの周辺の地下に比較的小さな洞窟を造り、その中に水の点滴を落として水音を洞窟の壁面に反響させ、それが、やがて地上に漏れてくる幽かな響きを、静かに楽しもうとするものです(平山勝蔵:水琴窟序説、水琴窟の話、龍居庭園研究所編、建築資料研究社、東京、1990)。

 上記の書物によりますと、水琴窟が庭園の施設として登場したのは江戸時代であるといわれているとのことです。明治時代に盛んに取り扱われていましたが、その後 衰退し、この文化遺産はほとんど壊滅状態に陥りました。

 近年、水琴窟のことがNHKテレビで取り上げられてから全国的に知名度が上がり、最近は広く人々の関心を集めるようになりましたが、未だそれほどは普及しておらず、古い邸宅や寺社などで見られる程度に止まっています。

 水琴窟の新聞、テレビなどへの紹介は、「日本水琴窟フォーラム」によりますと、昭和58年〜59年(1983〜1984)に朝日新聞の天声人語欄などに3回ほど取り上げられ、昭和58年(1983)にCBCテレビの「ニュースワイド」に取り上げられたのを契機として、その後、広く一般の関心が高まったとのことです。我が家にある水琴窟を観光客の方に聞いて頂きますと、皆さん方から非常に興味を持って頂いています。

 水琴窟の構造と原理は、上記書物に詳しく書かれていますので、水琴窟について詳しい知識を得たい方々は、是非、上記の書物をお読み頂きたいと思います。この書物によると、水琴窟にはいろんな形式があるようですが、その代表的な形式を下図に紹介します。

水琴窟の構造
(平山勝蔵:水琴窟序説、水琴窟の話、龍居庭園研究所編、
建築資料研究社、東京、1990)。

 また、水琴窟の形式としてよく見られる「つくばい水琴窟」の構造を下記に示します(日本水琴窟フォーラム)。

つくばい水琴窟の構造
非特定営利活動法人日本水琴窟フォーラム
(http://www.suikinkutsu.com/)

 我が家(美馬市脇町 森家)には、水琴窟が2カ所あったと思われますが、現在、音を聞くことが出来るのは1つのみです(下図左)。森家の現在の建物は明治19年(1886)の落成ですから、すでに築後124年経過しています。そのため、1つは土が詰まって、音を発しないようになったのではないかと思われます。しかし、下図の水琴窟は、私が物心ついた子供時代からはっきり美しい音を生じていました(約80年前)。この水琴窟は、現在においても、それほど高い音ではありませんが、明瞭に澄んだ音を聞くことが出来ます。

森家の水琴窟(約100年前構築、現在稼働中) 水琴窟の音を聞く徳島大学異文化交流クラブ
所属の中国・韓国の女子学生達

 下図も水琴窟であると思われますが、100年以上の歳月が経過しているため、現在は音を聞くことが出来なくなっています。

現在、音がでなくなっている水琴窟(森家庭園)

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