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目次 | |
1 | 正常心における心室内興奮伝搬過程・ 心室内伝導系・脚ブロックの分類(下記) |
2 | 右脚ブロック |
3 | 左脚ブロック |
4 | 左脚分枝ブロック |
5 | 左脚中隔枝ブロックの立証 |
6 | 両脚ブロック |
1.正常心における心室内興奮伝搬過程
ヒト正常心における左室興奮は、下記の3カ所からほぼ同時に始まります。
@ 左室前壁の心室中隔近傍部、
A 心室中隔左室面の中央部、および
B 左室後壁の心室中隔近傍部
左室心外膜面で最も早期に興奮する部位は、心室中隔に近い左室前壁(心基部、および心尖部と心基部の中間部)および心室中隔に近い左室後壁(心尖部と心基部との中間部)の3部位です。これらの部位から心外膜面の興奮は同心円状に広がります。最後に興奮する部位は左室後基部です。このように左室の興奮は3カ所から始まるため、左室内刺激伝導系が形態学的には扇状分布をしているとしても、機能的には3枝(左脚前枝、後枝,中隔枝の3枝からなると考えることが出来ます。
2.心室内伝導系
心室内伝導系は、右脚と左脚で構成されています。左脚の形態については、現在、一致した見解がなく、次のような3つの説がありますが、これらの中では扇状分枝説が有力です。
1)二枝説:左脚は、前枝(anterior
fascicle) および(posterior fascicle)の二本のからなるとする説,
2)三枝説:前枝、後枝および中隔枝(septal
fascicle)の三本の分枝からなるとする説、
3)扇状分枝説:前枝、後枝などに分かれず,扇状に分枝するとする説。
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左:左脚二枝説、中央:左脚三枝説、右:左脚扇状分布説 |
下図は、平賀が2例で心臓の連続切片標本を作製し、それに基づいて心内膜面に再構築した左室伝導系ですが、扇状分布説を支持する所見を得ました。
3.脚ブロックの分類
脚ブロックはいろんな立場から種々に分類されます。
1)QRS間隔による分類
(1)完全脚ブロック:QRS間隔≧0.12秒
(2)不完全脚ブロック:心室群波形は完全右脚ブロックに似るが、QRS間隔<0.12秒
2)障害された脚枝による分類
(1)右脚ブロック
(2)左脚ブロック
A.左脚主幹部ブロック
B.左脚分枝ブロック
a.左脚前枝ブロック
b.左脚後枝ブロック
c.左脚中隔枝ブロック
(3)両脚ブロック(bilateral bundle branch
blok,BBBB)
A.右脚ブロック+左脚前枝ブロック
B.右脚ブロック+左脚後枝ブロック
3)傷害された脚枝数による分類
(1)1枝ブロック
(2)2枝ブロック
(3)3枝ブロック