1家系内5人に興奮伝導障害、高度徐脈発作
を認めたSCN5A変異例
(Tan HLO, Blink-Boelkens MTE, et al, 2000)
トップ頁へ | 遺伝性不整脈目次へ | Lenegre 目次へ |
Tanらは、1家系内に5人の興奮伝導障害例を認めた1家系について報告し、これらの5人では遺伝子SCN5A変異を認めた。下図はその家系図である。
(Tan HL, Blink-Boelkens MTE et al: Nature 409(22):1043-1047,2001)
■男性、伝導障害あり、●女性、伝導障害あり;□男性、伝導障害なし、 ○女性、伝導障害なし。(+)carrier、(-)non-carrier。↑発端者。 有所見者では全例にSCN5A変異を認めた。 |
発端者はV-2例で、3歳の女児である。熱性疾患に罹患した際に失神発作を起こして受診した。本例の心電図を下図に示す。
症例V-2(発端者)の心電図。洞調律,QRS軸の右軸偏位を示す。 PR間隔・QRS間隔延長(年齢補正を超えている)。 |
下図は、発端者(V-2)の典型的な徐脈発作時の心電図で、著明な洞停止を認め、心拍数は25/分の著しい徐脈を示す。
発端者(V-2)の典型的な徐脈発作時の心電図(25/分) |
Tanらは、この変異遺伝子の特性を検討し、電位依存性gating作用にi異常を生じるが、この作用はdexamethasoneによって部分的に補正されることを見いだしたが、このことは有症候群において副腎皮質ステロイド投与が有効であったことによって裏付けられた。すなわち、発端者において、治療のためにdual chamber pacemakerの植え込みが行われたが、当初はペーシング不能であった。そこで、methylpredonisolone静注後にpredonisolone経口投与を続けることにより有効となった。