
Brugada症候群と特発性Brugada型心電図
心電図がWPW症候群に特徴的なデルタ波を示すにかかわらず、頻脈発作を持たない例が多く、このような例はpreexcitation(心室早期興奮)と呼び、頻脈発作を有するWPW症候群(preexcitation
syndrome, 心室早期興奮症候群)とは明瞭に区別しなければなりません。
同様のことがBrugada症候群についてもいえます。心電図所見がBrugada症候群に特有の所見を示すにもかかわらず、臨床的には何ら心臓発作がない例が多くあり、これらを症候性のBrudada症候群とは区別する必要があります。
欧州心臓病学会の不整脈分子機序研究グループハ2002年にこの点に関する診断基準を提唱しました(コンセンサス・リポート2002)。コンセンサスリポートによるBrugada症候群の診断基準は下記の如くで、次の2項目の内、何れか1つに該当する場合にBrugada症候群と診断します。
1.Type
1心電図+下記6項目の内、何れか1つを満たす。
1) 記録された心室細動、
2) 自己終息的な多形性心室頻拍(自然停止する多形性心室頻拍)、
3) 心臓突然死の家族歴(45歳以下の年齢層での)、
4) 家族にType
1心電図を示す例がいる場合、
5) 心臓電気生理学的に心室細動、多形性心室頻拍が誘発可能な場合、
6) 神発作ないし夜間のあえぎ呼吸
2.基礎状態でType
2 ないしType 3心電図を示し、薬剤負荷でType
1に変化した場合は、上記1に準じる。
〔註〕 1) 薬物負荷でST上昇が<2mmの場合は診断できない。
2) Type 3心電図がType 2に変化した場合も診断できない。
3) 臨床所見を伴わず、心電図所見のみを示す場合は、Brugada症候群と呼ばず、「特発性Brugada ECG pattern」と呼ぶ。
4) 基礎心電図が正常で、薬物負荷によってのみBrugada型心電図を示す例の予後は良好である。
Brugada症候群(7)へ