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Brugada症候群の予後(23の続き)(Prioriら、200例、2002年)

 Pryoriらが行った心室電気刺激による心室細動などの悪性不整脈誘発可能群と不能群における予後調査の結果、Brugada らの研究成績に反して,両群間に心事故(急死、心室細動)の発生率に差がないとの結果を得ました。下図はその研究成績です。

心室電気刺激による心室細動誘発性の有無による累積生存曲線
プログラム心室刺激による心室細動誘発可能群・
不能群におけるBrugada症候群の累積生存曲線

  Prioriらは、上図に示すように, プログラム心室刺激により心室細動ないし多形性心室頻拍誘発が可能な群と不能な群との間には生命予後(生存率)には統計的な差を認めませんでした。

 

 下図は、Brugada症候群の予後評価に関連した諸種の臨床指標別に基づいて4群に分類した各群の生存曲線を示します。
  A群;基礎心電図がBrugada心電図 (coved型)を示し、失神発作を病歴に有する例、
  B群;基礎心電図がBrugada心電図 (coved型)を示す例、
  C群:失神病歴を有する群、
  D群:失神病歴を有するが、基礎心電図はBrugada型を示さない群。
 これらの4群の中では、A群の予後が最も悪く、ついでB群が悪く、D群の予後が最も良いとの結果です。すなわち、基礎心電図がcoved型を示し、失神発作の病歴がある例が最も予後が悪いとの成績です。失神病歴があっても、基礎心電図がcoved型でなければ、予後は悪くありません。


Brugada症候群における諸種の臨床指標と生存曲線
Brugada症候群における諸種の臨床指標と生存曲線

  下図は、研究対象を高リスク群と低リスク群の2群に分けて累積生存率を調査した成績です。
    低リスク群:基礎心電図が正常な例で、失神発作の病歴の有無はを問わない。
    高リスク群:基礎心電図異常 (coved型)で失神発作を有する例。
 この研究によりますと、低リスク群の生命予後は良好ですが、高リスク群の生存率は時日の経過とともに急速に低下しています。

低・高リスク群の累積生存曲線
Brugada症候群における高リスク群と低リスク群の累積生存率曲線

 下表は、Brugada症候群における諸種の臨床指標の心停止予測率を示します。赤色で表示した項目では予測精度が高率で、予後が悪いことを示す臨床指標であると考えられます。黄色表示の項目は、それほど予後が悪くありません。

Brugada症候群における諸種臨床指標の心停止予測率
Brugada症候群における諸種臨床指標の心停止予測率(%)

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